マッキンゼーは優秀だが個人主義という、どちらかというと冷たいイメージを以前はもっていました。とりあえずビジネススキルを磨くという意味で2年はここで働いてみようと思って入社し、それから結婚・出産を経て既に4年近くが経ちますが、今は温かさがマッキンゼーの魅力だと思っています。
私は入社前、東京と香港を拠点に国際物流業界で11年勤務、その後一時休職してアメリカでSCMの修士号を取得しました。マッキンゼーへの入社は、日本企業のSCMを能動的な戦略の一部に位置付けるような仕事ができるのではないかと思ったこと、そして面接を通じて出会った方々がイメージとは裏腹にとても親切だったことが決め手でした。
入社後は様々な企業のSCMや購買の変革サポートをしてきました。大変な時もありますが、役職に関わらず全員が常に全力投球な環境と、クライアントを含むチーム全員で課題に取組むやりがいが何よりも働き続ける原動力になっています。プロジェクト終了後しばらく時間が経ってから、クライアントから「あの時に一緒に頑張ってくれたから今がある」とその後の成功のご連絡をいただいた時は涙が出るほど嬉しかったです。
社内ではよく”Author your own journey”と言われます。私がその意味を実感したのは出産・育児休暇を経て、復職した時でした。
マッキンゼーは柔軟な会社で、チーム発足時にそれぞれの働き方を共有し尊重しながら働く文化があります。例えば、私の場合は1歳の子供を迎えに行ってから寝かしつけるまでの17‐21時は緊急時以外は家庭に集中する時間と伝えています。復職当初は会社やチームに対してこの時間の制約があることへの申し訳なさが先に立ち、いかに影響を最小限に抑えるかばかりを考えた結果「緊急時」の定義を自分でずいぶんと緩くしてしまいました。結果子供とも一緒に過ごす時間が減り、今度は家族に対する罪悪感が膨らむ悪循環に陥ってしまいました。
そんな中で上司や先輩後輩社員と話をするとよく「あなたにとって一番良い働き方ができているか、そうでないのなら何が達成できればよいか」を聞かれました。会話を繰り返すうちに、自分が無意識に仕事と育児の両立は私一人の努力で解決すべき課題だと思いこんでいたこと、そしてマッキンゼーでは課題はみんなで解くものだったことを思い出しました。
今は長い目で見てどのような働き方をしたいのかについて考え、家族とも上司や同僚とも定期的に話し合うことができるようになりました。与えられる正解があるのではなく、自分に合った働き方を作っていく権利と責任があるという意味で“Make your own McKinsey”なのだと思います。働き方は一人一人、また人生のフェーズによっても違ってくるものですが、マッキンゼーにはそれを尊重し、達成するためにお互いをサポートしあう文化があります。お膳立てしてくれるわけではないことが外から見ると冷たく見えるかもしれませんが、今はそれこそが働く場所としての最大の魅力だと感じています。